少し難しくなって来ました。フレーミングについてです。
今回の「フレーミング」というのは「露出補正」にも少し掛かってくる、作品の意図を表現する一つの手段と言えます。

「フレーミング」と「構図」は同じ意味で使われている事が多いのですが、実は違います。フレーミングとは“空間の切り取り方”という意味合いになります。

例えば10人のカメラマンが同じ時間に同じ主体を撮ろうとした場合、ある人は背景に空を入れたり、ある人は背景に花の色を入れたりすると思います。このフレーミング(切り取り方)に正解は無いわけです。
露出補正も同じです。明るく仕上げたいと思っている人に、「ここはマイナス補正が正解」とは言えないのです。だから「ここでは露出補正はいくつにすればいいのでしょう」などと聞かれると、聞かれた方は困ってしまうわけです。

先の章で行いました「構図」は割と正解の出やすい、「4つの交点のどこかに主体を置きましょう」などという内容だったのに対し、フレーミングは「主体をどう引き立てるか」という、より感性に近い内容になります。

よって第二章で行った「他人と感性が合っているかを確認しよう!」という部分が生きてきます。

「うわぁ!すごい!」

こう思った写真を今一度見直してみてください。構図が良いのは勿論、フレーミングが良いと思いませんか。「こんな絶妙の位置に鳥を入れるなんて」とか、「背景と主体を綺麗に合わせていて素晴らしい」とかそういう感想が出てくると思います。



図6-1:なるべく私が恥をかかないと思われる良い例

例えばこれらの写真。同じ時間帯に同じ場所で撮れば、誰でも撮れる写真です。

ということは、皆さんの行く先々にも何らかの成功があるのです。どうですか、こう考えると同じように撮れないのはただ単に「思いつかなかったから」ということになると思いませんか。皆さんも思いついていたら、同じものが撮れたわけです。機材などは同じ一眼レフなら違いはありません。レンズが低価格でも問題ありません。大切なのは空間を切り取る“思いつき”です。


ではこの“思いつき”、どうやって鍛えれば良いのでしょうか。


私からのアドバイスとしては、できれば同じ場所で30分は考えてください。


なぜか。


基本的に身の回りにそんなに驚くような事はありません。パッと見て驚くようなものがあれば他の人が撮っています。そういうあからさまなものでは無く、自分にしか見つけられないもの、これを目指して下さい。あなたにはあなたにしか見えないフレーミングがどこかにあるのです。

名言ですね。あまりに名言なのでもう一度言わせて下さい。


アナタにはアナタにしか見えないフレーミングがどこかにあるのですッ!


自分に酔っちゃいそうです。

「そんなに撮るものないな」と思った後に本気が出ると私は思います。撮れなくても気負う必要はありません。カメラを構えては「違う」、構えては「違う」で問題ありません。そのトライが新たなフレーミングを生み出すのです。本当にダメなら来週また行けばいいのです。

この広い世界を、アナタの目線でちょっとだけステキに切り取る事ができればいいなと思います。

以下は私の切り取り方です。普通の場所でもアイデアと工夫で凄い場所に変身しますよ。





図6-2:なるべく私が恥をかかないと思われる良い例2

私の場合、これらの写真は全て一息ついて景色を見ながら、たまに屈んでは「うーん、あの花がもう少し右だったらな」などと思って、またボーっとしながら考えて撮ってます。


出向いてすぐ撮って面白くなる時もありますし、逆の場合もあります。


これら自分の中で“成功”と言える写真の裏には無数の“失敗”があります。
この失敗写真、よく見直してください。

ただ単に「これは主体に成り得ないよな」と思うものはスルーしてしまって良いのですが、「ああ!もう少し右から撮れば良かった!」とか「わずかに、わずかにピンボケ!」みたいな写真は大きく後悔してください。

以下は私の反省すべき写真の例です。



図6-3:割といいんだけど、何か違う例

前者の蝶の写真の場合、水仙の黄色の位置が雑ですよね。バランスが悪い感じになってしまっています。現場では夢中で「キタ!コレキタ!」って思ったのですが、冷静になるとイマイチです。

後者のクリスマスローズは左上の空間に玉ボケを入れたつもりが、光が弱かったらしく見えなくなってしまいました。

これらの点は反省点です。よく見て次回に生かせるようにしないといけません。



得てしてデキのイイ写真よりも反省点のある写真の方が勉強になる、とも言えそうです。


いい写真と反省すべき写真の見分けが付くようになれば、あとは自分で撮影する時に気を付ければ良いわけです。撮影の際、ファインダーを覗きながら“何をどう表現したいのか”を意識してください。

“表現”と言うとどこか大袈裟な感じがします。“表現”なんて事は微塵も思って無いかもしれません。単に綺麗に撮りたいだけかもしれません。しかし単に綺麗に撮る場合でも、その被写体の明るい面を全面に出して撮るか、寂しい面を出すのかなどを必ず考えるわけです。これが表現なのです。

例えば、実際は笑っているハズも無いのに「笑う花」と題し、明るく綺麗な花を撮ってみます。ここで既にあなたは単なる花を“笑っているようだ”と一枚の写真で表現しようとしたということになります。


図6-4:表現している写真って?



いかがですか。構図だけ守れば常に素晴らしい写真が撮れるわけでは無いのです。フレーミングと構図が合わさって、良い写真になるというわけです。

次の章では実際にどういうシチュエーションで、どういうフレーミングを行えば良いのかという例を書いてみたいと思います。


ということで今回のまとめ。

・自分なりのフレーミングで差を付けろ!


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