“写真には足し算・引き算が重要だよ”というのを目にした事はありませんか。基本的にビギナーが気を付けるのは“引き算”の方ですので、この章では引き算に特化して書いてみたいと思います。

まずは以下の写真を例にしてみましょう。

図5-1:綺麗な感じはするが、意図が伝わりにくい画像の例

いかがでしょう。水仙の花が主体なのは分かりますよね。背景を見ると色とりどりの花が咲いていて、「春なんだなぁ」という雰囲気が伝わると思います。

その中でもとりわけ水仙が綺麗だったんだ、と言いたいのかなと推測されます。

しかしちょっと待って下さい。

この写真には絵画的な美しさがありますでしょうか。よく見て下さい。紫や青や白や赤や、そして緑やと色とりどりなのは分かりますが、本当にこの色は必要なのでしょうか。


ここで考えるのが「写真の引き算」です。


ビギナーは基本的に何でも入れて撮ってしまいます。後から見直した時も、主体だけを見て「うまく撮れたでしょ」と言うのです。ピントが合った写真は当たり前で、やはり感動させる絵にする為には、絵画的な要素を取り入れる必要があると言えます。

この例では、何やら余計なものがたくさん写っております。この中で「引き算」が有効なポイントは以下の通りです。

■主体以外の水仙の花
主体以外の水仙は、右向いたり上向いたりとどっち付かずな印象がありますよね。主体以外の同じような花というのは、どうしても視線を取られてしまいます。
主体以外は必要無いと考えるべきでしょう。

■背景の様々な色
白、紫、青、赤、緑など多種多様な色が見えますが、これをシンプルにした方が良い気がします。この背景がゴチャゴチャ写真の一番悪い所だと言えると思います。



では上記を改善してみた例を載せてみます。


図5-2:写真の引き算を使った例

いかがでしょうか。とてもシンプルになってますよね。
白の水仙に白のヒヤシンスを合わせ、ほんの少し紫のパンジーを入れている状態となっています。


続いて次の例です。


図5-3:背景も合っていて割と綺麗な例

いかがですか。先程よりは主体と背景はマッチしていて、割と面白い形になっていると思います。

しかしやはり気になるのは左下の草。主体を見た後に左下に目が行ってしまうと思いませんか。

また主体と同じ色になっている背景も、“主体を引き立たせる”という意図からは外れている気がします。


図5-4:もっともっとシンプルに

そこでこの様にシンプルにしてみました。背景にあるパンジーの少しの色を残し、主体だけにして多くの引き算を取り入れてみました。

意外に全体が見えるよりも「ん?これなんだ?」と思わせた方が深い感じがしますよね。見せられた時に「ひょっとしたらヒヤシンスかな、いや待て待て違うかもしれないぞ」と無意識に思ってしまう方が面白いと感じると思います。



なんでもかんでも拡大すれば良いというわけではありません。良い例が次の例となります。


図5-5:どこを引き算したら良いでしょう?

いかがでしょうか。これも割と綺麗に見えるのですが、背景の白いボケがやたら気になりますよね。
絵として必要かどうかだけを考えて下さい。何があろうとこの部分に白い目立つ背景は必要ありません。

例え「これが自然の状態だった」としても、余計なものが入った絵には感動度合いも薄れてしまいますよね。自分が絵を描くならココに目立つものを描くかどうかを考えてみると割と分かりやすいかもしれません。


以上の事から、私はこの様に引き算してみました。


図5-6:余計なものが入らないように工夫すること

失敗写真の方の背景を見ると、ウサギの耳のような葉っぱが見えます。余計な白い部分を回避する為に縦構図にした上で、この特徴ある葉っぱとヒヤシンスを合わせてみることで、絵が仕上がっていると思います。

この場合は単純な引き算だけじゃなく、葉っぱという足し算も入れている所がポイントかもしれないですね。シンプルに意味のある絵にすることが重要です。



この様に、余計なものが入ってしまう原因は色々あるのですが、ファインダーを覗いた時に、主体ばっかり見てピントを気にしているのがビギナーだと言えると思います。周りもよく見て、余計なものが入っていないか確認する事が重要と言えます。

とは言え、最初はなかなか難しいものです。私も分かってはいるのですが、撮った写真を見直すと「こんな余計なものが入ってたなんて…」と驚愕する事が多かったです。

ということで、この驚愕を手っ取り早く解決するにはトリミングをしてください。

「トリミング」とは「切り取り」です。1枚の画像から必要な部分だけを切り取るのです。もちろん画像は小さくなりますが、そもそも1000万画素に対応している最近のカメラ機器では、大きな画像で撮っているはずですので、多少切り取ったくらいでクオリティは下がりません。

雑誌やレクチャー本などでは必ず書いてあるのですが、「トリミングは周辺を切り取るくらいで、基本的には撮影時に気を付けましょう」と注釈があると思います。全くその通りなのですが、ビギナーには撮影時に気を付けるのは難しいのも現実です。色々難しい思いをするのであれば、サッとトリミングして解決してしまった方が良いです。


ただし、トリミングする際に罪悪感だけは持って下さい。


上達する為には「ゴメンナサイ!」と思いながら実施するのが重要です。するとそのうち、撮影時に気を付けるようになります。不思議なのですが、1年もすれば自然とトリミングなど必要無くなってきます。

なのでビギナーの頃は横構図を縦構図にしてしまうくらいのトリミングがあっても問題ありません。どんどんやってしまいましょう。

以下は横構図を縦構図にトリミングする例です。
1.横構図の写真を


2.右上に主体を持ってきて切り抜く!


↓↓↓
3.完成!

図5-7:横構図から縦構図を取り出す例

この場合は、「主体の左側の空間がちょっと広すぎだなぁ」というのをパソコン上で確認した時に分かってしまった場合の例です。余計な部分を取り除く引き算が必要ということで、「ここは思い切って縦構図にしてしまおう!」という例になります。


ここまでが“見えているものをフレームから外す引き算”となります。他には第一章で大事だと言いました「ボケ」を使う事もできます。
勘のいい方ならわかるかもしれません。背景に余計なものが入っていても、“ボケ”を使って見えなくしてしまえば、立派な「引き算」になるのです。
例えば以下のようなものです。

1.上部に余計な葉っぱが見えている


2.綺麗になった!

図5-8:余計な所をボケを使って引き算するサンプル

ボケの具体的な作り方は後の章で書きたいと思います。

いかがでしょうか「写真の引き算」。意外に簡単にできるのですが、撮影時は気づかない事が多い、ということを念頭に置いて撮ってみてください。


次の章では閑話休題。写真に文字を入れる事について書いてみたいと思います。

ということで今回のまとめ。

・写真の引き算はトリミングして覚えよう!


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