「構図をしっかり決めましょう」などと言うと、何やら難しい感じを受けるかと思います。写真の世界で「いいから正解を教えろ」と言われると非常に困る事が多いのですが、実は構図については正解があります。

その一つが三分割法です。

写真はど真ん中に主体が来ると「日の丸構図」と呼ばれます。ビギナーにとって日の丸構図は御法度と思って下さい。基本的にやってはいけません。「やってはいけない」と言われるととても分かりやすいですよね。

以下は日の丸構図のサンプル写真です。




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図3-1:ビギナーはやってはいけない日の丸構図の例。

いかがでしょう。見た感じ特に悪い印象はありませんが、深みが無いと思いませんか。主体がとても印象的かといえばそうでも無いですし、空間が上下左右均等になっている為、安定感が無いような印象を受けてしまいます。

ちなみに表現方法の一つとして日の丸構図は有効ではあります。ど真ん中ですからとても印象に残るわけです。しかしビギナーの場合は単なる失敗写真にしか見られない事が多いです。基本は「やってはいけない」の方が、分かりやすくて良いと思います。

では、「真ん中がダメなら、どこに主体を置けばいいんだ」と思った方は、以下の図をご覧下さい。


図3-2:三分割法の主体の置き場所4点

三分割された交点(赤丸部分)が4ヵ所存在します。この4ヵ所辺りに主体を置きます。
例えばこんな感じです。






図3-3:三分割法を忠実に守った写真サンプル

いかがですか。見ていて不安にはならないでしょう。どこか安定感があると思います。

「よし、それは分かったが、カメラにそんな線は無いぞ!どうやるんだ!」

と思った方でもご安心下さい。「ここら辺」でいいのです。
以下を見て下さい。完璧に4ヵ所のど真ん中に主体が入っているわけではありませんが、問題は無いですよね。






図3-4:三分割法を適当に守った写真サンプル


同じように「黄金分割法」というのもあるのですが、以下の図を見て分かる通り、三分割法と似た場所が交点となっています。つまりこの辺りならどこでもいいのです。


図3-5:三分割法と黄金分割法はソックリ

簡単ですね。三分割法。
しかしもう少しよく考えてください。真ん中1点に主体を置けば良かったものが、4点の中のどこかに主体を置かなければいけなくなりました。

さあ、この4点のどこに主体を置きますか?

以下のサンプルを見ると、どれが正解に見えるでしょうか。

1.左上
2.右上
3.左下
4.右下
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図3-6:4ヵ所の交点のどこに主体を置く?

こうやって並べると見分けるのが難しいかもしれないですね。しかしこの写真については前の章で見ましたので、3の左下が最も落ち着く構図だと分かると思います。

花の向いている方向に空間があるから落ち着くのでしたね。

では次の例題です。

1.左上
2.右上
3.左下
4.右下
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図3-7:縦構図の4ヵ所の交点、どこに主体を置く?

1の左上にあるものは背景と合っていて良いですね。3の左下になると画像右上にロープが入ってしまっています。論外ですね。


いかがでしょうか。続けて次の例。

1.左上
2.右上
3.左下
4.右下
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図3-8:4ヵ所の交点、どこに主体を置く?

これは1の左上が正解という気がしますね。向いている方向を空けるので、4の右下もアリなのかもしれませんが、向いた方向の背景が単調な為、この空間は何か足りない感じを受けてしまいます。


では4の右下の背景が単調で無い場合はどうでしょうか。

図3-9:ダメな位置でも工夫すればOK?

どうですか。先程4つの中では採用しなかった場所にある主体も、背景が合わさる事で、「蝶が眺めるお花畑」が表現できていると思います。

セオリーが必ずしも正しいとか、間違っているといった事も無く、結局は全体の構成、表現をバランス良く見て考えれば良いのです。

そのテクニックの一つとして、「主体の向いている空間を空ける事」があると思って下さい。これは必ず守らないといけないわけではありません。

いかがでしたでしょうか、三分割法。簡単ですので今日から試す価値があります。

次の章では「どうやって4つの点に主体を持ってくるのか」をお話したいと思います。

ということで今回のまとめ。

・主体は3分割法に従って4つの交点のどこかに置こう!

ちなみに他にも「S字型構図」や「シンメトリー」「水平線構図」など色々あります。これだけあるということは、綺麗に見えれば何かしらの構図法に当てはまっていると思って間違いありません。

結果的にこれらの構図法から逸脱したものは美しく見えませんので、三分割法以外の構図法も覚えておくと、構図決めの迷いが減るかもしれません。

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